研究概要 |
著者は牛肺から可溶性Guanylate Cyclaseをイオン交換樹脂やGTPアフィニテイーカラム等を用いて、肺抽出液と較べて比活性で約12、000倍以上に精製することが出来た。精製されたGuanylate Cyalaseは分子量74、000と69、000のヘテロダイマーであり、酵素1mol当たり1molのhemeを含んでいた。反応液中のマグネシウムイオンをマンガンに換えるとその活性は約10倍、一酸化窒素添加で約150倍活性が上昇した。さらに、ADP-ribosyltransferase活性をもつ、コレラ、百日咳、ボツリヌスC3毒素とNADを共存させるとその活性は約10倍上昇し、マンガンイオンがあればさらに約30倍活性は上昇した。此の時、ADP-riboseは69、000のSubunit 1mol当たり1molのADP-riboseが結合していた。一方、本精製酵素に一酸化窒素を添加すると、高分解ラマン分光測定に於いて、N-O,Fe-NOの伸縮シグナルが1681、521cm^<-1>に認めたが、GTP存在下ではそれぞれのシグナルが1700、1681cm^<-1>に変化し、同じ変化がcGMP存在下でも認められたが,GTPの類似体である、ATP,guanylimidopiphosphate,GTP-gammaS,やピロリン酸では認められなかった。これらの結果から結合NOの近くで、GTPやcGMPはheme遠位で結合し、一酸化窒素による活性制御を受けると共に、一酸化炭素やADP-ribosylationによる複合的な制御を受けていることが推察される。脳内のcGMP結合タンパク質の精製は始めたばかりであるが、現在結合能の最も高いタンパク質を追跡中である。
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