研究課題/領域番号 |
09660326
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
橋本 祷 北里大学, 獣医畜産学部, 教授 (30050503)
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研究分担者 |
汾陽 光盛 北里大学, 獣医畜産学部, 助教授 (00153007)
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キーワード | アネキシンV / プロラクチン / LH / 組換え蛋白質 / 下垂体前葉 / 時間分解免疫測定法 / ゴナドトロフ / LHβサブユニット |
研究概要 |
本研究計画は、我々が下垂体前葉における発現を発見した新規のカルシウム-リン脂質結合タンパク質、アネキシンVの下垂体のホルモン分泌とその産生細胞におけるシグナル伝達機序への関与を検討するものである。昨年度は、プロラクチンと黄体形成ホルモン(LH)分泌に対するアネキシンVの影響を中心に検討し、下垂体前葉細胞初代培養系で、アネキシンVがプロラクチン放出には抑制的に作用するのに対し、LH放出には極めて強力な促進作用を示すことを明らかにした。ホルモンの「分泌」は、ホルモンの合成から放出までの一連の過程からなることを踏まえ、本年度は主にアネキシンVのゴナドトロピンサブユニット合成に対する作用を中心に検討した。合成活性の検定には、RT-PCR法を用いたmRNAの半定量法を採用した。まず、同一チューブ内で対照に用いたG3PDH遺伝子とLHのβサブユニットmRNA由来cDNA断片を同時に増幅し、mRNA量を推定する方法を検討し、この方法で再現性のある定量性の得られることを確認した。下垂体前葉細胞の初代培養系にアネキシンVを添加すると、LHβmRNAの増加することが明らかになった。この結果は、アネキシンVが、LHの合成を促進することを示している。次に、アネキシンVがLH産生細胞(ゴナドトロフ)で合成されるのか否かを知るために、ゴナドトロフの株化細胞であるαT3-1細胞から抽出したRNAにアネキシンVmRNAが含まれるか否かを検討し、この細胞種がアネキシンVの合成能を持つことを明らかにした。以上の研究結果から、下垂体のゴナドトロフでは、自らの産生ずるアネキシンVをシグナル伝達に用い、少なくともLHのβサブユニットの合成からLHの放出までの過程を促進的に調節する機序の存在することが示唆された。
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