昨年度の研究にひき続き、ウマ伝染性子宮炎(CEM)の発生と伝播の機構を科学的に解明するため、その原因菌であるT.equigenitalisに着目し、そのゲノムDNAレベルでの解析を行った。広く世界で分離されたT.equigenitalis株で、本年はアメリカ合衆国とアイルランドの2ケ国で1977年から1982年の間に分離された27株を対象に解析を行った。その結果1)アイルランド株は3つのジェノタイプに、アメリカ株は4つのジェノタイプに分かれること、2)両国で分離された株の内で60%を越える17株が同一のジェノタイプに属し、この中にはKentucky188株が含まれること、3)このKentucky188ジェノタイプ以外に共通のジェノタイプは見出せないこと等が明らかとなった。 この様な結果と昨年度得られた結果から、世界的にはT.equigenitalisのジェノタイプは明らかに均一ではなく多様であることが示唆される。 なお平成10年度の本研究にかかわる成果の学会発表は、日本細菌学会1件、Society for Applied Microbiology(UK)3件、日本分子生物学会1件であった。
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