研究課題/領域番号 |
09660338
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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研究分担者 |
北川 均 岐阜大学, 農学部, 助教授 (70144003)
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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キーワード | モルビリウイルス / 牛疫ウイルス / 競合ELISA / モノクローナル抗体 / 中和エピトープ / 疫学調査 |
研究概要 |
前年度の結果から牛疫ウイルス(RPV)感染の有無を測定する方法として候補に挙がった同ウイルスL株(RPV-L)のH蛋白質に対するモノクローナル抗体(H-MAb)を競合抗体とした競合ELISAがRPV感染の指標として有用かどうかの検討を行った。5頭のウサギにRPV-Lを感染免疫し、免疫前及び免疫4週後に採取した血清を用いて、中和試験及び競合ELISAによりそれぞれの抗体価を測定した。いずれの方法においても、免疫前の血清は抗体陰性であった。中和抗体価は3頭が320倍、2頭が160倍であった。一方、前年度の結果から強い免疫誘導能をもつと考えられる抗原部位(III & IV)に対するH-MAbを用いた競合ELISAでは、2頭が128倍以上、1頭が32倍、2頭が16倍、1頭が8倍となり、同抗体価は個体差が有ることが示された。他の12のH-MAbを競合抗体として、同様な測定を行ったが、中和抗体価と相関する競合ELISA価が得られるような系は見いだせなかった。このことは、同じ株の感染であっても個体により多様な免疫反応が起きており、1つのエピトープに対する免疫応答で多様性のあるウイルスによる感染の有無を測定することの難しさを示唆する結果であった。そこで、モルビリウイルスの構成蛋白質のうち、量的に多く、免疫誘導能が比較的高く、保存領域と非保存領域が明瞭であることが明らかとなっているN蛋白質に注目し、競合ELISAに対する槍討を開始した。まず、保存領域であるアミノ酸223から378番目までの蛋白質をグルタチオンSトランスフェラーゼとの融合蛋白質として大腸菌内で発現させ精製に成功した。現在、RPV、イヌジステンパーウイルス及び麻疹ウイルスの各タイプの非保存領域蛋白質の発現精製を試みている。今後、この発現蛋白質を用いて免疫血清を作成し、これらを競合抗体として競合ELISAの確立を計る予定である。
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