研究課題/領域番号 |
09660338
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
杉山 誠 岐阜大学, 農学部, 助教授 (80196774)
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研究分担者 |
鬼頭 克也 岐阜大学, 農学部, 助手 (80270974)
源 宣之 岐阜大学, 農学部, 教授 (10144007)
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キーワード | モルビリウイルス / 牛疫ウイルス / 麻疹ウイルス / イヌジステンパーウイルス / ELISA / N蛋白質 / 疫学調査 / ネコ |
研究概要 |
牛疫ウイルス(RPV)のN蛋白質全長発現蛋白質rNPと、その末端変異領域発現蛋白質rNPtailをを免疫して作製した抗体のモルビリウイルスに対する反応性から、rNPはモルビリウイルスに共通の、rNPtailはRPVに特異的な抗原性を持つことが明らかとなった。そこで、得られた抗体を用いて競合ELISAの開発を試みたが、中和試験に比べ感度が悪い結果となった。 rNP及びrNPtailを抗原とし、ELISA(rNP/ELISA及びrNPtail/ELISA)の開発をし、RPVに感染したウサギ及びウシ、麻疹ウイルス(MV)に感染したヒト及びイヌジステンパーウイルス(CDV)に感染したイヌからの血清を用いて、その有用性を検討した。ウサギ45例およびウシ20例を用いたrNP/ELISAとRPVに対する中和試験との結果の一致率は、それぞれ100および75%であった。ヒト100例を用いたrNP/ELISAとMVに対する中和試験との一致率は60%であり、イヌ140例ではCDVに対する中和試験との一致率は61%であった。一方、rNPtail/ELISAの場合、ウサギ及びウシにおいてRPVに対する中和試験との一致率はそれぞれ82および70%であるのに対し、ヒトおよびイヌにおいてはすべて陰性であった。rNP/ELISAはモルビリウイルス感染抗体を、rNPtail/ELISAはRPV感染抗体を特異的に検出できる系であることが明らかとなった。 以上の方法を用いて、モルビリウイルス感染について情報がないネコ126検体について、rNP/ELISAを行ったところ、13例が陽性を示した。そのうち2例がCDVに対してのみ中和試験で陽性を示した。rNPtail/ELISAでは非特異反応と考えられる1例を除いてすべて陰性を示した。この結果は、将来ネコにおいてCDV感染症が起こる可能性を示唆するものであった。
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