1. WBN/Kobラットの自律神経病変 WBN/Kobラットにおいてヒトの糖尿病性自律神経症と同様の軸索ジストロフィーと軸索径の小型化を腸間膜神経節にのみではあるが認めた。このことは本系統のラットの自律神経には節性脱髄を主体とした運動末梢神経症とは異なる発生メカニズムによる末梢神経症が存在することが確認され、今後この変化についてさらに病理発生を明らかにすべき課題が生じた。しかし他の自律神経では軸索径は大型化し、軸索ジストロフィーも認めなかったことから糖尿病性の影響は弱いと判断された。 2. WBN/Kobラットの筋肉病変 検査した骨格筋に分布する神経における頻繁な異常発現にも関わらず、明らかな神経原性の異常とされる筋変化は認められなかった。糖尿病ラットの筋病変の特徴は検索したすべての筋肉におけるIIa型線維での高度の萎縮と外側趾伸筋と横隔膜におけるIIb線維の肥大、大腿二頭筋の1型線維の肥大から構成されており、加齢性変化とは明らかに異なっていた。この原因として嫌気的解糖の異常による代謝異常が疑われた。
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