研究課題/領域番号 |
09660348
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
三森 国敏 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 室長 (10239296)
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研究分担者 |
安原 加壽雄 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (80174522)
小野寺 博志 国立医薬品食品衛生研究所, 病理部, 主任研究官 (60177285)
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キーワード | トランスジェニックマウス / rasH2マウス / p53ノックアウトマウス / ヒトプロト型c-Ha-ras遺伝子 / p53癌抑制遺伝子 / 前胃腫瘍 / 皮膚腫瘍 |
研究概要 |
methylnitrosourea(MNU)をヒトプロト型c-Haーras遺伝子導入トランスジェニックマウス(rasH2マウス)に1回腹腔内投与すると、前胃・皮膚腫瘍が誘発され、その殆どに導入遺伝子の点突然変異が発現することが報告されている。一方、ethylnitrosourea(ENU)投与によりrasH2マウスにこれらの腫瘍が誘発されるか否かについては明確にされていないことから、雌雄のrasH2マウスにMNU37.5mg/kg、ENU120mg/kgないし0mg/kgを1回腹腔内投与し、26週間観察した。MNU群では、前胃扁平上皮腫瘍が雄16、雌20匹全例に、皮膚乳頭腫が約70%の動物に誘発された。ENU群では、前胃腫瘍癌が雄5/11、雌4/12例、皮膚乳頭腫が約20%の動物に認められた。MNU群の前胃腫瘍では導入遺伝子の変異が約75%にみられ、皮膚腫瘍のそれは約80%であった。ENU群での変異の頻度は前胃で約30%、皮膚で50%であった。以上の成績から、MNUおよびENUの前胃・皮膚腫瘍誘発においても導入遺伝子の点突然変異が必ずしも関与していないことが示唆された。 p53(Exon5)遺伝子の片側アレルが欠損しているp53(+/-)C57BL6マウスに30ppmのMNUを隔週で10週間飲水投与することにより、p53(+/-)C57BL6マウスに腺胃腫瘍が誘発されることが報告されている。一方、我が国ではp53のExon2の片側アレルが欠如しているp53(+/-)CBAマウスが維持されているが、この系統マウスでのMNUに対する発癌感受性は明らかにされていないことから、雄p53(+/-)CBAマウスおよびその同腹仔の野生型CBAマウス[p53(+/+)CBAマウス]それぞれ15匹づつに50ないし10ppmのMNUを26週間飲水投与し、MNUの発癌感受性を検討した。MNU投与により腺胃腫瘍は雄p53(+/-)およびp53(+/+)CBAマウスのいずれにも誘発されなかった。以上の成績から、p53のノックアウト操作ないしマウスの系統の違いにより、MNUに対する発癌感受性が異なることが示唆された。
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