イヌにおけるIgE抗体を介したアレルギー疾患の研究

1997 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 09660349
• 研究種目: 基盤研究(C)
• 研究機関: 国立感染症研究所
• 研究代表者: 阪口 雅弘 国立感染症研究所, 免疫部, 主任研究官 (20170590)
• 研究分担者: 辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教授 (60163804)
• キーワード: イヌ / IgE / ダニ / アレルゲン

研究概要

最近、イヌにおいてアレルギー性皮膚炎が増加の傾向にある。アレルギー性皮膚炎のイヌに各種アレルゲンの皮内テストを行うと、室内塵中の表皮ダニ(Dermatophagoides属)に強く感作されている可能性が示唆されている。
今回、外部寄生性ダニが存在せず、室内で飼育されているイヌの中でアレルギー性皮膚炎の症状を示めしている27例のイヌの血清中のダニアレルゲン特異IgE抗体を測定したので報告する。2種類の表皮ダニ、D.farinae(DF),D.pteronyssinus(DP)が存在するため、各アレルゲンに対する特異抗体を測定した。27例中DF特異IgE抗体を保有する例が19例、DP特異IgE抗体を保有する例が15例であった。アレルギー性皮膚炎のイヌの多くがダニアレルゲンに感作されていることが分かった。また、DPよりもDFに強く感作されていることも明らかになった。
人のダニアレルギー患者においてDer1、Der2がダニ主要アレルゲンとなっている。上記のアレルギー性皮膚炎のイヌ27例において、これらのダニ主要アレルゲンに対する反応性を調べたところ、Der1特異IgE抗体保有例は3例、Der2特異IgE抗体保有例は6例であった。Der1よりもDer2に強く感作されていることが判った。また、人のダニ主要アレルゲンはイヌにおいてはマイナ-なアレルゲンである可能性が示唆された。今後、イヌにおけるダニ主要アレルゲンの同定研究が必要になるものと考えられる。

研究成果

• [文献書誌] Hashimoto M.et al.: "Responses of pollinosis monkeys to two major allergens of Japanese cedar pollen." Int Arch Allergy Immunol. 112. 88-92 (1997)
• [文献書誌] Sakaguchi,M.et al.: "Fluorometric ELISA for allergen-specific dog IgE antibody." Allergol Int. 46. 207-212 (1997)
• [文献書誌] Sakaguchi M.et al.: "Comparison of specific IgE antibody to B cell epitopes of the major allergen (Cry j 1) of Japanese cedar pollen in humans and monkeys with pollinosis." Immunology. 91. 161-166 (1997)
• [文献書誌] Sakaguchi M.et al.: "IgE-mediated systemic reactions to gelatin included in the varicella vaccine." J.Allergy Clin Immunol. 99. 263-264 (1997)
• [文献書誌] Sakaguchi,M.et al.: "Development of IgE antibody to gelatin in children with systemic immediate-type reactions to vaccines." J Allergy Clin Immunol. 99. 720-721 (1997)
• [文献書誌] Sakaguchi,M.et al.: "Systemic immediate-type reactions to gelatin including in Japanese encephalitis vaccines." Vaccine. 15. 121-122 (1997)