犬の代表的アレルギー疾患であるアトピー性皮膚炎の症状を示す42頭の犬において皮膚テストとIgE抗体の測定を行った。皮膚テストは26種類のアレルゲンエキスを用いた。特異IgE抗体は24種類のアレルゲンでImmunodot法を用いた。42例中、ハウスダストマイトの皮膚テストに反応したのが29例(69%)、その特異IgE抗体が検出されたのは23例(55%)であった。スギ花粉アレルゲンにおいては42例中、21例(50%)が皮膚テスト陽性、7例(17%)がスギ花粉IgE抗体陽性であった。日本においてアトピー性皮膚炎の主な感作源の1つとしてハウスダストマイトとスギ花粉アレルゲンが重要であることが確認された。 次にアトピー性皮膚炎を示し、さらにスギ花粉アレルゲンに感作されている10頭の犬でヒスタミン遊離テストと末梢血リンパ球の反応性を調べた。これらの犬はスギ花粉アレルゲンに対する反応性は皮膚テストとIgE抗体測定により、確認された。これらの犬の血液から好塩基球を分離し、ヒスタミン遊離テストを行ったところ、10例中2例からスギ花粉アレルゲン特異的ヒスタミン遊離が認められた。同様に、末梢血リンパ球の反応性を調べたところ、5例においてスギ花粉特異的末梢血リンパ球の反応性ガ認められた。これらの結果から人のスギ花粉症患者と同様に犬においてもスギ花粉特異的ヒスタミン遊離テストと末梢血リンパ球の反応性が認められ、今後、人のモデルとして有用であることが明らかになった。
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