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昨年度の研究結果からジャガイモYウイルス(PVY)に対する抵抗性タバコのVirgin AMutant(VAM)は、細胞間移行のレベルでウイルスの拡大を阻害していることが判明している。また、ウイルスの複製についても約30%ほど阻害することが明らかになっている。VAMにPVYのO系統(PVY-O)を経代接種しているうちに抵抗性を打破し、全身に移行するミュータントが出現することに着目し、いくつかのミュータントを選抜した。それらミュータントの塩基配列を元の塩基配列と比較することによって、ウイルスのどの遺伝子がVAMの抵抗性と関係するか明らかにできるものと予想した。2つの異なる分離株のミュータントの全塩基配列を決定して、もとのウイルスと比較したところ、共通した変異はVPg領域にのみ見出された。VPgのほぼ中央にある塩基性アミノ酸が酸性アミノ酸に変異することがVAMの抵抗性打破に関与するものと考えられたので、さらに2つの抵抗性打破分離株のVPg領域の塩基配列を決定したところ、同じアミノ酸が確認され、一つのアミノ酸の変異がVAM抵抗性打破を決定していると結論した。VPgについてはウイルスゲノムRNAの5′末端に結合しているタンパクであり、ウイルス複製に関与していると考えられてきたが、最近の報告にはウイルスの長距離移や細胞間移行にも関与しているとするものもあり、複数の機能があるのではないかと考えられる。今後、VPgが分子レベルでどのようにVAMの抵抗性に関与しているのか明らかにし、抵抗性発現を担う遺伝子を分離したいと考えている。
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