当該研究機関における研究成果の概要は以下の通りである。 1)酵母(K. lactis、S. cerevisiae)β-グリコシダ-ゼ : β-galactosidase (GAL)および炭素数2、4、6のアルコール類とグリセロール-OH基にガラクト-スを転位して新規な糖鎖及び配糖体、LAMではラミナリービオースと-トリオースからラミナリ-オリゴ糖鎖(n=2〜6)、をそれぞれ製産することが知られ、新規糖鎖の生理生活が注目された。研究成果は農芸化学会大会(東京)で発表する。 2)ウシ脳のβ-グルコセレブロシダーゼ : ウシ脳より採取精製した可溶性酵素(画分S)について酵素学的な諸性質を調べたのち、デシルセファロースに固定化した(画分I)。画分Iについて、分子的、酵素学的、速度論的特性を検索し画分Sとの違いを明らかにした結果、可溶性加工澱粉に画分Sを固定化して「可溶性プロテイン」構築の見通しを得、成果を農芸化学会大会(東京)で発表する。 3)ウシ舌の味覚受容タンパク質 : 味蕾細胞を摘出し味覚受容タンパク質を採取精製した。SDS-PAGE分析から、分子量約58、000と64、000のニ画分(それぞれ画分1と2)を得た。大量のウシ舌から各画分を採取精製しプロテアーゼ処理を行って、主要なペプチド各ニ断片をHPLCにより調製してアミノ酸配列を決定した。決定したアミノ酸配列データに基づいて、遺伝子発現によるタンパク質試料の増産を進め、研究の成果を応糖科大会(信州)及び生物高分子学会大会(京都)で発表する。 4)淡水魚の生殖細胞 : 受精シグナル機構(精子の発信と受容)を調べる為、メダカ飼育法を確立したのち、精子の凍結保存及び卵母細胞の培養(4日程度)に成功した。本研究で購入した顕微鏡を用いて受精シグナル受容の初期課程を画像的に捉え、細胞内活動の開始と動態、ならびにシグナル受容に及ばす合成化学物質の効果について検索を進め、成果を生物高分子学会大会(京都)で発表する。 5)硫黄酸化菌(Thiobacillus thiooxidans)の亜硫酸酸化酵素 : 固定化菌体をセンサーに用いた亜硫酸高感度自動測定装置の発酵学的基盤を解析した。また細胞下分画を行った結果、細胞小器官の膜酵素であることが判り速度論的と反応機構を調べ、「膜酵素プロテイン」の構築による亜硫酸測定装置開発の可能性が確認され実用化の実験に入った。研究成果は、前半部を応糖科大会(静岡)で発表した。また後半部を生物高分子学会大会(京都)で発表する。
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