研究概要 |
本研究は粘菌細胞のムチン型糖鎖欠損突然変異株を用いて、野生株AX2とのディファレンシャルディスプレー法により新規糖鎖転移酵素遺伝子の単離を目指すものである。 ムチン型糖鎖欠損突然変異株HG794と野生株AX2のそれぞれの発生3時間細胞から全RNAを単離し、ディファレンシャルディスプレー法を実施した。GenHunter社のRNAmapTMキットを用い、5'側プライマー20種、3'側プライマー4種による80種のプライマーの組み合わせで反応を行った。有意差のあるバンドを切り出し、PCRにより増幅し、pBluescriptIIにクローニングした。その結果3'側プライマー/5'側プライマーの組み合わせで、T_<12>MT/AP11により新規遺伝子バンド1、2の2種、T_<12>MT/AP11で新規遺伝子バンド3の1種、T_<12>MG/AP3で新規遺伝子バンド7の1種、T_<12>MG/AP17でactin-bundling protein遺伝子、T_<12>MA/AP5およびT_<12>MC/AP5でホスホジェステラーゼインヒビター遺伝子が野生株AX2とムチン型糖鎖欠損突然変異株HG794との間で有意差のある遺伝子として同定、単離できた。 新規遺伝子4種が新規糖転移酵素遺伝子としての最有力候補遺伝子と考えられた。したがってこれらをプローブ1、2、3、及び7として新たに作成した発生3時間の粘菌細胞cDNAライブラリーをスクリーニングし、最長のcDNAクローンの単離を試みた。結果、プローブ3より開始コドン、終止コドンを含む2,169bpの完全長cDNAバンド3-3を得た。またプローブ7より開始コドン、終止コドンを含む910bpの完全長cDNAバンド7-1を得た。他のプローブを用いてのスクリーニングも現在進行中であり、これら遺伝子の機能解析はノックアウト突然変異株の単離及びプロダクト中の酵素活性の検定等をもって進めていく予定である。
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