研究課題/領域番号 |
09670002
|
研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
嶋田 裕 千葉大学, 医学部, 教授 (70009116)
|
研究分担者 |
小宮山 政敏 千葉大学, 医学部, 助手 (70175339)
豊田 直二 千葉大学, 医学部, 講師 (00188822)
|
キーワード | アクチン / ネプリン / 心筋 / 骨格筋 / 筋原線維 / 発生 |
研究概要 |
1. 筋原線維形成過程におけるアクチンのダイナミクス 蛍光色素(ローダミン)で標識した筋型および非筋型アクチンを培養ニワトリ心筋細胞にマイクロインジェクションし、標識を取り込んだ筋原線維をレーザー光でブリーチしたのち、蛍光の回復(FR)を調べた。横紋のない未熟な筋原線維の部分は、横紋のある成熟した部分よりFRが有意に早いことから、アクチンは筋原線維の幼若な部分には容易に取り込まれることが判明した。また非筋型アクチンは筋型のものに比較してFRが有意に遅いことから、筋原線維へ非筋型アクチンは容易には取り込まれないが、筋型アクチンは容易に取り込まれることが判明した。 2. アクチンのダイナミクスに対する細胞骨格の役割 アクチンのグイナミクスに対する細胞骨格の発生との関連を、培養骨格筋細胞において上述の方法によりFRを調べた後、アクチン関連蛋白質ネブリンの抗体染色をほどこして調べた。横紋のある筋原線維において、ネブリンは″singlet″から″doublet″の分布状態へと変化するのが観察された。FRは前者の部位では後者の部位より有意に早いことが観察され、若い筋原線維ほどアクチンの交換性が早いことがわかった。ネブリンば″singlet″を呈する時期にはアクチンフィラメントとの関連の程度が弱いことが考えられ、このことがアクチンの交換を容易にしていることが想像された。 以上より、筋原線維は、幼若なものほどアクチンの交換性が早いこと、また筋型のものほど取り込まれ易い性質をもっていることが判明した。この機構により、発達中の筋原線維中に存在する非筋型アクチンは、次第に筋型のものに置き換わって行くことが考えられた。
|