研究概要 |
我々は,精子形成過程に特異的に発現する4つの遺伝子のクローニング及び発現様式の解析に成功し報告してきた。報告した4つの遺伝子は,解糖系酵素であるhexokinase遺伝子(Hkl-s)とglyceraldehyde3-phosphate dehydrogenase遺伝子(Gapd-s),精子尾部の繊維鞘構成蛋白質であるFsc1遺伝子,heat-shock proteinのひとつであるHsp70-2遺伝子である.Hk1-s,Gapd-s,Fsc1遺伝子は主にpostmeiotic phaseである半数体のspermatidの発生段階に発現し、Hsp-70-2遺伝子は精母細胞を中心としてmeiotic phaseに発現している。体細胞に発現せず精子形成過程にのみ特異的に発現する遺伝子は,減数分裂あるいは精子形成に重要な役割を担っていることが推測される。これらの遺伝子の機能を解析するために、まず我々は、HK1-s遺伝子の構造を明らかにし(Mori et al.,Mol Repiod Dev,1998),そのノックアウトマウスを作成するためのtarget vector作りをおこなっている。また、Hsp70-2遺伝子に関しては、Hsp70-2ノックアウトマウスの作製に成功しているので、減数分裂におけるHsp70-2遺伝子産物の機能,apoptosisとの関連を検索した(Mori et al.,1997)。さらに、精巣におけるapoptosisのメカニズム及び検出方法の関連を行い(Nakagawa et al,1997; Mori,1997)、現在、減数分裂との関係や精子形態形成の関係とを検討中である。
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