研究概要 |
脊椎動物における概日リズム(circadian rhythm)をつかさどる時計(circadian clock)の所在が明らかになったのは、鳥類の松果体である。これに対し、哺乳類松果体は、光受容能が全く失われており、メラトニン合成の日内リズムは完全に上頚神経節由来の交感神経系の支配を受けており、上頚神経節除去にてこのリズムは消失する。今回、ラット松果体の交感神経を切断し、2週間後の松果体を検索した。切断は、チロシンヒドロキシラーゼの免疫組織化学をおこない、上頚神経節からのノルアドレナリン線維の投射が消失していることで、確認している。電子顕微鏡にても神経終末構造の消失を確認している。松果体でのNGF,b-FGF,GDNF発現を検索したが、発現の大幅な変動は認められなかった。次に、切断時期に変動する成長因子関連遺伝子や新規因子を見つけるため、PCR法を応用したdifferential mRNA dispalyにて検索した。このうち、成長因子や成長因子受容体及び、そのホモロジー遺伝子を検索する。現在、6種類の候補遺伝子を得て、クローニング中である。また、シュワン細胞の基底板管を用いた末梢神経の再生のモデルを用いてbFGFの効果を検索した。bFGFは神経軸索に直接に働き再生を促進することを確認した。
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