研究課題/領域番号 |
09670014
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
片岡 勝子 広島大学, 医学部, 教授 (30034002)
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研究分担者 |
洲崎 悦子 広島大学, 医学部, 助手 (10274052)
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キーワード | ゴルジ装置 / レクチン組織化学 / 共焦点レーザー走査顕微鏡 / 三次元構造 / 胃腸粘膜 / 粘液細胞 / 十二指腸腺 / 杯細胞 |
研究概要 |
ゴルジ装置の各層板と分泌顆粒を蛍光標識レクチンで特異的に染色し、共焦点レーザー走査顕微鏡を用いて三次元構造を解析した。その結果、マウス十二指腸のブルンナー腺細胞ではゴルジ装置は核上部にレース状の編目をもったドーム型をなし、分泌顆粒はドームの内部空間に向かって放出された後、ドームの編目を通過して細胞頂部に輸送されることが判った。マウス遠位結腸においては、腸陰窩下部の杯細胞のゴルジ装置は、やはりドーム状をなすが、分泌顆粒の通過する孔はより大きく、腸陰窩上部の杯細胞では、ドーム天井の一つの孔が集積した分泌顆粒に押し拡げられて拡大し、これまで一般的に言われている杯型のゴルジ装置になると推測された。 次いで、より広汎な細胞を観察するために、ゴルジ装置の渡銀染色(対比染色:PAS染色またはトリクローム染色)を行った胃腸粘膜を直接3D観察顕微鏡を用いて観察し、ブルンナー腺細胞と杯細胞で上記の結果を追認した。胃の表層粘液細胞では、核上部にドーム状の網状構造をなしているゴルジ装置は、細胞の成熟とともに核側部に移動する傾向があった。主細胞および副細胞ではゴルジ装置は核上部にドーム状の網状構造をなし、分泌顆粒の貯留とともに網目が拡大した。いずれの細胞でも分泌顆粒はドームの内外にみられた。すなわち、胃腸の外分泌細胞のゴルジ装置は、基本的には核上部にドーム状をなし、分泌顆粒は先ずドーム内腔に放出された後、ドームの孔を通って細胞頂部に移動すると考えられた。そして分泌顆粒の貯留とともに三次元構造が修飾されることが示唆された。電子顕微鏡写真を詳細に観察しても、このゴルジ装置の基本構造が裏付けられた。さらに、腸の吸収上皮細胞においても、ゴルジ装置は核上部にドーム型をなすことが判った。
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