1. 17α-水酸化/C17-20切断酵素の発現における転写調節因子PbX1の役割を明らかにするために、この酵素とPbX1の免疫組織化学をおこなったところ、性腺、副腎では両者の間に明瞭な関係は認められなかったが、胎盤では両者が共存し、両者の関係には組織特異性があることが示唆された。 2. ラット肝臓では生後1週から3週にかけて、17α-水酸化/C17-20切断酵素が肝細胞に発現することが免疫組織化学的に明らかになった。この酵素の発現は性腺が発達するころに低下し、成獣では認められなくなるととから、思春期の発来調節に関係することが考えられる。 3. 副腎皮質における17α-水酸化/C17-20切断酵素の酵素活性調節にチトクロームb5が関与していることを示すために組織化学を試みたが成功しなかった。新しい抗体や核酸プローブの作製が必要である。 4. プロスタグランジンF合成酵素(PGFS)はステロイド3α水酸基脱水素酵素と近縁の酵素である。このPGFSの局在をラットの種々の組織について生化学的、免疫組織化学的に検索したところ、血管内皮細胞のほか、中枢神経系の神経線維にもあること、さらに神経線維では樹状突起にあることが電子顕微鏡観察によって明らかになった。ステロイド3α-水酸基脱水素酵素は5α-リダクターゼとともにテトラヒドロプレグネノロンの産生に関与し、神経組織の安定化に働いていると考えられており、PGFSの神経系における役割の解明が次の課題として浮上してきた。
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