研究概要 |
1.Collagen gel内での血管新生の過程 培養2-3日目から組織片の断端からfibroblastic cellの遊走が見られ、その後毛細血管様tubeの形成がcollegen gel内に認められた。 2.血管新生におけるintegrinの関与 毛細血管様tubeの形成に先立ってfibroblastic cellが遊走してくるが、とくにその先頭部分の細胞にはα1が強く発現していた。培養日数がすすむにつれ、α3、αVを強く発現する細胞が認められ、α3では索状に配列した細胞にも反応が認められ、もうさい血管様tubeの形成にはα3,αVが関係すると思われた。 3.血管新生における増殖因子の関与 増殖因子のうち、PDGF,bFGFがmyofibroblastic cellsの遊走を特に促進した。一方、TNF-αは細胞の遊走に対しては、抑制的に働いた。また、VEGFでは他の増殖因子と異なり、遊走する細胞は索状に配列し、血管新生に極めて関係する因子と思われた。 4.臨床的応用について 材料として筋組織特に赤筋が主体であるヒラメ筋などの方が白筋主体の腓腹筋などよりも遊走するfibroblastic cellは豊富で、毛細血管様チューブの形成も明瞭であることを確認した。さらに、アテロコラーゲン・スポンジによる真皮欠損用グラフト内に組織片を埋め込み、これらの材料でも血管新生が起きることも確認した。
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