心筋Na^+-Ca^<2+>交換の構造一機能相関と、心筋細胞膜Na^+-Ca^<2+>交換機能の詳細な解析を主に行った Na^+-Ca^<2+>交換蛋白(NCX1)のXIP領域(219-238)に相当する合成ペプチドがNa^+-Ca^<2+>交換活性を抑制することから、XIP領域は調節部位であると推測されてきた。我々はXIP領域の部位特異的変異体を作成し、NCX1を発現させたアフリカツメガエル卵母細胞からinside-out giant patch法によりNa^+-Ca^<2+>交換電流を記録し解析を行った。その結果、229番目のリシンを含む変異体はNa^+-依存性不活性化が完全に消失した。223番目のフェニルアラニン、224番目のチロシン、225番目のリシンの変異体ではNa^+依存性不活性化は保存されたが、Ca^<2+>による活性化が著明に抑制さた。それ故XIP領域はNa^+-依存性不活性化とCa^<2+>による活性化の責任部位であると結論された。 次に我々は心筋細胞におけるNa^+-Ca^<2+>交換とNa^+ポンプの機能的共役を検討し、モルモット心室筋細胞においては細胞容量の約14%領域で細胞内Na^+を介して相互依存することを示した。また、心筋細胞膜Na^+-Ca^<2+>交換を詳しく研究するため、大きなパッチ膜“マクロパッチ"からNa^+-Ca^<2+>交換電流を測定する方法を開発した。マクロパッチのNa^+-Ca^<2+>交換電流もNa^+-依存性不活性化と細胞質側Ca^<2+>による活性化を示し、giant patchによる報告を確認することができた。Na^+-Ca^<2+>交換の交換比率は3:1であると考えられてきたが、マクロパッチにおけるNa^+-Ca^<2+>交換電流の逆転電位測定からは、4:1交換を示唆する結果が得られた。今後交換比率ついての研究を進めるとともに、Na^+-Ca^<2+>交換の構造機能解析をさらに進め、XIP領域による調節の分子機序をさらに解明したい。
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