心筋Caチャネルの活動はcell-freeパッチで消失する(run-down現象)が、run-downしたチャネルは細胞質蛋白とATPを作用させることにより活性を回復させる。このチャネルに作用する細胞質の蛋白を検索したところ、プロテアーゼ阻害物質カルパスタチンと未知の蛋白が関与することが示唆sれた。そこでこのCaチャネルを活性化する未知の物質を検索するための研究を行った。牛心臓より調製した心筋抽出液をゲルろ過により4つに分画し、高分子側からH分画、カルパスタチン分画、L1分画、L2分画とした。H、L1、L2の各分画をカルパスタチン分画とともに心筋細胞のinside-outパッチでrun-downしたCaチャネルに作用させ、チャネル活性化作用の有無を検討した。その結果、H分画は単独ではほとんど作用がないが、カルパスタチン分画と共に作用させるとチャネル活性を回復させる作用があることが判明した。つぎに、H分画にあるCaチャネルを活性化する因子の性質について検討した。H分画をトリプシンで処理するとチャネルを活性化する作用が減弱した。また、フォスフォリパーゼCで処理してもチャネル活性化作用が低下することが判った。以上の結果から、H分画にはCaチャネルを活性化する因子が存在しカルパスタチンやATPと共にチャネルの活性調節に関与することが示唆された。
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