研究概要 |
腎皮質(近位尿細管)におけるNa^+依存性グルコース輸送体(SGLT1,SGLT2)の発現を、mRNAと蛋白レベルで調べた。最初に、新生児期のWistarラットを用い、成長に比例するSGLT1とSGLT2 mRNAの発現量を調べた。SGLT1とSGLT2 mRNAの発現量(15日齢)は、5日齢ラットに比べ、それぞれ6倍と2倍に増加した。この発現が、糖質コルチコイドの作用を受けるかどうかを調べるために、鉱質コルチコイドの作用が弱い合成ホルモンbethamethazone (60μg/100g,i.p.)を5日齢と15日齢ラットに投与し、24時間後の変化を調べた。SGLT1とSGLT2 mRNAの発現量(5日齢)は、それぞれ9倍と6倍に増加し、SGLT1とSGLT2 mRNAの発現量(15日齢)は、ともに約2倍に増加した。以上の結果から、新生児期のSGLT1とSGLT2 mRNAの発現量は、日齢とともに増加し、部分的に糖質コルチコイドの調節を受けることが明らかになった。さらに、SGLT1とSGLT2の蛋白レベルでの発現量を調べるため、ラットSGLT1とSGLT2のc末端の一部を使い、抗体(ウサギとマウス)を作製した。抗体価はそれぞれ5倍と10倍であった。次年度(平成10年)に、糖尿病併発時の腎近位尿細管におけるSGLT1とSGLT2の発現量の変化を調べる予定である。
|