研究概要 |
モルモット盲腸紐平滑筋条片に蛍光Mg指示薬furaptra(mag-fura-2)を導入し,350nmと380nm励起による500nm(FWHM 40 nm)の蛍光強度比(R)をMg信号として解析した(25℃)。標本をイオノフォア(bromo-A23187,monensin,nigericin)で処理後細胞外Mg濃度を種々に変えて(0ー49mM),細胞内外のMg濃度が平衝に達した時点でのR値と細胞内Mg濃度([Mg^<2+>]i)との関係(較正曲線)を求めた。以後の実験では,この関係方法を用いて得られた盲腸紐平滑筋細胞内Mg濃度は,平均0.98mMであった。細胞外無Ca条件下でNa濃度を低下させると,[Mg^<2+>]iは時間と共に上昇した。その上昇速度はNa濃度が低いほど大きく,勾配係数3-4,最大速度0.16μM/s,Na濃度が約30mMで最大の半分の速度となるHillの式で近似することができた。この関係は細胞外高Kによる脱分極で右にシフトし,細胞外低Kによる過分極で左にシフトした。 蛍光Na指示薬SBFIにより細胞内Na濃度([Na^<2+>]i)変化を測定した。Ouabain(1-5μM)投与により,蛍光Na指示薬SBFIで細胞内Na濃度([Na^<2+>]i)は有意に上昇した。この時,[Mg^<2+>]iは[Na^<2+>]iと同様の時間経過で上昇した。Ouabainにより[Na^<2+>]i上昇後,細胞外Naを除去すると[Mg^<2+>]iは非常に速く(〜1 μM/s)上昇した。 これらの結果より,モルモット盲腸紐平滑筋細胞に,Naと交換に細胞内MgをくみだすNa^+-Mg^<2+>交換機構の存在が示唆された。また,この機構が起電性であり,輸送方向が逆転可能であると推測した。
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