初年度の結果よりモルモット盲腸紐平滑筋の細胞膜にはNa^+と交換にMg^<2+>をくみ出すNa^+-Mg^<2+>交換機構が存在することが示唆された。このMg^<2+>輸送がNa^+-Ca^<2+>exchangerによって輸送されている可能性を検討するため、ハムスター肺繊維芽細胞由来の株化細胞CCL39に心筋Na^+-Ca^<2+>exchanger(NCX1)を発現させた細胞を用い、細胞内Ca^<2+>濃度(Ca^<2+>_i)、Mg^<2+>濃度(Mg^<2+>_i)を蛍光指示薬で測定した。イオノフォア(イオノマイシン)投与によるCa^<2+>_iの上昇はcontrol cellでは細胞外Na^+濃度に依存しなかったが、NCX1発現細胞では細胞外Na^+存在下で著明に抑制された。細胞外Na^+による抑制はNCX1によるCa^<2+>くみ出しを反映していると考えられた。同様に、細胞外Ca^<2+>-free条件下でイオノマイシン投与により、Mg^<2+>_iの上昇を観察した。Mg^<2+>_iの上昇は、control cellでは細胞外Na^+濃度に依存しなかったが、NCX1発現細胞では細胞外Na^+存在下で著明に抑制された。この結果から、NCX1がMg^<2+>くみ出しを行っていることが示唆された。同様の結果が、骨格筋・脳で発現しているNa^+-Ca^<2+>exchanger(NCX3)を発現させた細胞でも得られた。次年度は、体内でNCX1を高度に発現していることが知られている心筋細胞を用い、このNCX1によるMg^<2+>輸送が心筋細胞でどの程度生理的に重要な役割を果たしているか、さらに実験を行う予定で
|