研究概要 |
正常ヒト末梢血より得た単核球画分をガラスシャーレで1〜1.5時間培養し、非接着細胞を洗浄して除去した後、CD3マイクロビーズに接着しない細胞を回収して単球画分を得た。これにCa^<2+>蛍光指示薬fura-2をAM体にて負荷し、単球の細胞内Ca^<2+>濃度を測定することができた。また、細胞調整後液体窒素中にて凍結保存したものを解凍して実験に供した場合にも同様のプロトコルでCa^<2+>測定が可能であったし、以下の各操作における細胞内Ca^<2+>増加反応も非凍結細胞と同様であった。 1, 単球をマクロファージに分化させるマクロファージ刺激因子(M-CSF)の投与によっては急性の細胞内Ca^<2+>増加反応は観察されなかった。 2, 0.1〜100uMのATPの投与によって、著明な一過性(3〜5分)の細胞内Ca^<2+>増加反応が誘発された。各種プリン受容体の阻害剤による抑制効果を検討した結果、このCa^<2+>増加反応はP2Y型プリン受容体の阻害剤で抑制された。 3,抗CD14抗体の投与により、一過性の細胞内Ca^<2+>増加反応が誘発された。 4,リポポリサッカライド(LPS)を単独で投与した場合には細胞内Ca^<2+>増加反応は誘発されなかった。ヒト血清を投与すると単球はCa^<2+>増加反応を示す。LPSはCa^<2+>増加反応を介することなく単球を活性化しているのか、血清中の補助因子が共存するとCa^<2+>増加反応を誘発するのか、未だ不明である。 5,マクロファージ刺激因子によって単球から分化させたマクロファージにおいて、抗CD14抗体の投与による細胞内Ca^<2+>増加反応が増強されることが観察された。
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