研究概要 |
本年度は,まずラット膀胱平滑筋に発現するプリン受容体を定量的に検討するために,定量化PCRを行った。P2Y1,P2Y2,P2Y4,P2Y6,P2X1の,それぞれの合成オリゴを作成してPCRを施行した。400-600bpのPCR産物の有無より、ラットの膀胱にP2Y1,P2Y2,P2Y4,P2X1が発現していると推測できた。これらの受容体の発現量の検討は現在進行中であり、今年度中には報告できるものと思われる。ラットのヌクレオチド配列をもとにして作成された上記の合成オリゴを用いて,培養ブタ気管平滑筋細胞中に発現している受容体の検討を行ったところ、PCR産物の有無からP2Y2,P2Xl受容体の発現が検出されたが、それぞれのPCR産物のバンドの濃淡はラットと比較して非常に薄く、これらのPCR産物を確認するために2回のPCRを施行せねばならなかった。 この結果、ブタとラットは種族が異なるにもかかわらず、PCR産物の大きさはほぼ同じ大きさであった。ここでP2Y2プライマーを用いたPCR産物をクローニングして、さらにシーケンスを行ったところ、報告されているラットのP2Y2のヌクレオチド配列とまったく同じであった。ブタ気管平滑筋の受容体の薬理学特性はP2Y2とよく一致しているが、ラット膀胱平滑筋のそれは発現系での薬理学的特性と異なることから、生理的な条件で発現しているP2Y2はサブユニット等との結合により,ATPに対してより高い感受性をもつことが推測された。
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