研究概要 |
本研究で、我々はラット膀胱平滑筋細胞におけるP2プリン受容体のサブタイプの同定を行い、以下の結果を得た。 酵素により単離した膀胱平滑筋細胞を用いた実験では、細胞外液に1.8mM Ca^<2+>存在下ATP(10^<-8>M〜10^<-4>M)ならびにP2Xアゴニストであるα,β-methylene adenosine 5'-triphosphate(α,β-Me ATP)(10^<-9>M〜10^<-4>M)濃度依存性に細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]I)を増加させた。この際、[Ca^<2+>]Iはfura-2の蛍光変化によりモニターした。細胞外Ca^<2+>イオン非存在下では、α,β-Me ATP(10-9M〜10-4M)は[Ca^<2+>]Iに対して何らかの影響を与えなかったが、下ATP(10-8M〜10-4M)はCa^<2+>存在下同様[Ca^<2+>]iを増加させた。[Ca^<2+>]iを増加より決定されたプリン受容体アゴニストの薬効順位はCa^<2+>非存在下ATP>UTP>ADP>UDPであり、既に報告されているP2Y11受容体の順位と良く一致していた。PT-PCRを用いて、ラットの膀胱平滑筋細胞におけるプリン受容体のmRNA発現を検討したところ、これらの細胞においてはP2X1、P2Y1、P2Y2、P2Y4が発現していることが明らかとなった。ABI PRISM7700を用い、発現しているmRNA量を半定量化し比較したところ、それら受容体mRNAの発現量はP2X1>>P2Y2>>P2Y4>>>P2Y1であった。これらの結果はラット膀胱平滑筋細胞において主として発現しているプリント受容体はP2X1とP2Y2であることを示唆しており、これは申請者らが以前明らかにした神経原性収縮に関与する受容体の分布と良く一致していた。
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