研究概要 |
電位依存性L型カルシウムチャネル(DHPR)とリアノジン受容体(カルシウム放出チャネル)はどちらも骨格筋の興奮収縮連関において必須の分子である。先に我々はL型カルシウムチャネルとリアノジン受容体が相互に情報交換を行っていることを明かにした。現在、L型カルシウムチャネルとリアノジン受容体の機能的カップリングのメカニズムは蛋白分子どうしの直接結合が推定されているが、L型カルシウムチャネルとシアノジン受容体が直接結合しているのか、介在蛋白を会してこの2つの分子が結合しているのか、明らかにされていない。この実験の目的はYeast two-hybrid systemを用いて、L型カルシウムチャネルとリアノジン受容体の物理的な蛋白蛋白結合を明かにすることである。 キメラDHPRを用いた実験から予想される結合部位を含むDNA結合ドメインプラスミドs53(DHPRα1s:アミノ酸番号719-767)と、キメラリアノジン受容体を用いた生理学的な実験から予想される結合部位sR16(RyR-1:1837-2168),とそのRyR-2の一致する部位cR16(RyR-2:1817-2142)を含むアクチベータ-ドメインプラスミドを作製した。s53,sR16,cR16はいずれも単独ではヒスチジン欠損倍地で発育しなかった。cR16とs53の組み合わせでもヒスチジン欠損倍地で発育しなかったが、sR16とs53の両方をもつYeastはヒスチジン欠損倍地でコロニーの発育が認められた。しかしb-galactosidase活性の測定ではいずれの組み合わせでも活性を認めなかった。 以上の結果からは栄養要求性実験とb-galactosidase活性法とのデータの食い違いがあり、L型カルシウムチャネルとリアノジン受容体の物理的な蛋白蛋白結合があると証明することはできなかった。今後、Yeast two-hybrid systemによるライブラリースクリーニングを行っていく。
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