研究概要 |
運動は、肥満・高脂血漿の予防治療に有効でことが経験的に知られている。運動が総エネルギー代謝および糖・脂肪・蛋白質の燃焼比率の中枢生調節機構をどのように修飾するのかするか不明の点が多い。本年度の研究では、交感神経系が運動中および運動後のエネルギー源としての糖・脂肪の燃焼比率に影響するのかを検討した。 方法:ラットをトレッドミルで持続的に運動できるように訓練した。自発的に運動するラットに、動脈圧、中心静脈圧、心電図、および腎交感神経活動を測定するためにカテーテル、プローブを慢性留置した。ラットに最大酸素摂取量の80%、60%、40%の強度の運動を行せ上記のバラメータを連続測定した。 結果:糖質と脂質の燃焼比を示す呼吸商は、運動開姶前0.87±0.02であった。運動中(20m/min,30分間のトレッドミル運動)に有意な変化はなく、運度後に0.75±0.01と有意に低下した。腎交感神経活動は、対照期を100%とすると運動中141.5±10.7に有意に上昇し、運動後に2時間にわたり69.7±10.4に減少した。 以上より、20m/min,30分間のトレッドミル運動により腎交感神経活動と呼吸商は、運動後2時間以上持続的に運動前と異なる低レベルでの平衡状態を維持し、深い因果関係があることが解った。このことから、運動が中枢性に交感神経活動を介して、長期間脂質利用促進に糖質利用抑制にシフトしていると考えられる。
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