我々は多源性ペースメーカ領域の同定とその発現条件を確定するため、交感・副交感神経刺激によるペースメーカ領域の反応性の検討とペースメーカ領域に対するカルシウムチャネル拮抗薬、過分極誘発内向き電流阻害薬、遅延整流カリウム電流阻害薬の作用の検討を行い、交感神経刺激により心房拍動数は増加し、最早期領域は右心房前面上部に存在し、迷走神経刺激によって拍動数は低下するとともに最早期領域も下方に移動すること、交感神経刺激による最早期領域はカルシウムチャネル拮抗薬によって下方に移動したが、過分極誘発内向き電流阻害薬及び遅延整流カリウム電流阻害薬は有意な影響を与えないことを報告してきた。これを受け、本年度は(1)交感神経・副交感神経相互作用が心房拍動数ペースメーカ領域に与える影響について心房拍動を調節する心臓内副交感神経の除去を行うことによって明らかにした(第71回日本薬理学会年会、第99回日本薬理学会関東部会)。(2)頸部迷走神経刺激による心房拍動数とペースメーカ領域に対するカルシウムチャネル拮抗薬、過分極誘発内向き電流阻害薬、遅延整流カリウム電流阻害薬の作用の検討を行った。(3)一回群発刺激を迷走神経に与えたときの心房拍動数とペースメーカ領域の反応を検討した。(4)現在、心房拍動数の変化、ペースメーカ領域とペースメーカ領域のアドレナリン受容体とムスカリン受容体の分布の関係を検討している。(5)ペブチドの心臓作用を心房拍動数とペースメーカ領域に対する作用も含めて検討している。現在も種々検討しているが、多源性ペースメーカ領域の確実な出現条件は確定されていない。
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