研究課題/領域番号 |
09670091
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
齋藤 尚亮 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)
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研究分担者 |
白井 康仁 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (60263399)
酒井 規雄 神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (70263407)
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キーワード | セロトニン / トランスポーター / リン酸化 / 脱リン酸化 / 変異体 / COS-7細胞 |
研究概要 |
本研究では、感情障害の原因とも考えられているセロトニントランスポーター(SET)に注目し、SET機能の制御機構と病態との関連の解明を目的とした。SETの生理機能を解析するために、まず、リン酸化、脱リン酸化によってSETの機能がどのように修飾されるかを検討した。SET活性は、PKCの活性化により有意に抑制され、その抑制はリン酸化酵素阻害薬によって完全に阻害された。また、不活性型のホルボールエステルはこのような抑制効果を示さなかった。また、フォスファターゼ1および2Aの阻害剤であるカリクリンAも同様にSET活性を抑制し、そのカリクリンによる抑制もリン酸化酵素阻害薬によって阻害された。これらの事実により、SET活性はリン酸化、脱リン酸化のバランスによって制御されていることが示された。Eadic-Hofstee解析により、このTPAやCLAによる制御はSETのセロトニンに対する親和性には影響を与えず、最大取り込み速度の抑制によることが示された。このリン酸化が、直接のリン酸化によるものであるかどうかを検討するために、sitedirected mutagenesis法を用いて、5カ所のリン酸化されうると推定されるそれぞれのセリンあるいはトレオニン残基を変異させた変異体を作製し、リン酸化、脱リン酸化の影響を検討した。その結果、すべてのリン酸化されうる部位を変異させても、TPA、CLAの効果が認められ、少なくともこの5カ所は直接リン酸化されないことが明らかになった。これらの結果から、SETはリン酸化・脱リン酸化酵素によって、間接的に制御されておいることが示唆された。今後、その間接的な制御機構を分子レベルで解明するためにSET結合蛋白の単離を行う予定である。
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