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1998 年度 実績報告書

セロトニントランスポーターの発現調節機構と感情障害の関係に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 09670091
研究機関神戸大学

研究代表者

斎藤 尚亮  神戸大学, バイオシグナル研究センター, 教授 (60178499)

研究分担者 白井 康仁  神戸大学, バイオシグナル研究センター, 助手 (60263399)
キーワードセロトニン / トランスポーター / インターフェロン / リン酸化 / うつ病 / シナプス / 電子顕微鏡
研究概要

本研究では、感情障害の原因とも考えられているセロトニントランスポーター(SET)に注目し、SET機能の制御機構と病態との関連の解明を目的とした。 SETの生理機能を解析するために、まず、リン酸化、脱リン酸化によってSETの機能がどのように修飾されるかを検討した。SET活性は、PKCの活性化、あるいはフォスファターゼ1および2Aの阻害剤であるカリクリンAにより抑制された。これらの事実により、SET活性はリン酸化、脱リン酸化のバランスによって制御されていることが示された。この制御はSETのセロトニンに対する親和性には影響を与えず、最大取り込み速度の抑制によることが示された。site-directednutagenesis法を用いた実験により、このSET機能の抑制は、リン酸化酵素によるSETの直接のリン酸化によるものではなく、細胞骨格蛋白質のリン酸化による間接的な抑制作用である可能性が示唆された。また、SET抗体を用いた免疫電顕法によって、SETは神経終末およびnerve fiberのvaricosity内の小胞に存在することが明らかになった。さらに、インターフェロン治療における大きな問題であるうつ病の発症の機序について、SET遺伝子発現の制御機構の解析を行った結果、1)インターフェロンによるSETの転写の促進、2)SET蛋白の増加による神経終末でのセロトニン取り込みの上昇、3)セロトニン神経伝達の抑制、という病態が考えられた。以上、SETの調節機構と感情障害の関連について、蛋白質修飾レベル、および遺伝子発現レベルでの解析を終了し、セロトニントランスポーターの生理的意義の解明に向けた研究を行う要件を整えることが出来た。今後、本研究により達成された成果に基づき、セロトニントランスポーターの機能異常と病態の関連および、それに対する薬剤開発の道を拓く研究を行うことを計画している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (8件)

  • [文献書誌] Hashimoto,T.他: "Isoform-specific redistribution of calcineurin Aα and Aβ in hippocampal CA1 region of Gerbil after transient ischemia." J.Neurochem.70. 1289-1298 (1998)

  • [文献書誌] Morikawa,O.他: "Effects of interferon-α and-γ on the transcriptional regulation of serotonin transporter." Eur.J.Pharmacol.349. 317-324 (1998)

  • [文献書誌] Ohmori,S.他: "Three distinct mechanisms for translocation and activation of δ-subspecies of protein kinase C." Mol.Cell.Biol.18. 5263-5271 (1998)

  • [文献書誌] Shirai,Y.他: "Distinct effects of fatty acids on translocation of γ-and ε-protein kinase C." J.Cell.Biol.143. 511-521 (1998)

  • [文献書誌] Shirai,Y.他: "Subspecies specific targeting mechanism of protein kinase C." Jpn.J.Pharmacology.78. 411-417 (1998)

  • [文献書誌] Yamamoto,H.,他: "Immunohistochemical localization of serotonin transporter in normal and colchicine treated rat brain." Neurosci.Res.32. 305-312 (1998)

  • [文献書誌] Nakai,M.他: "Amyloid beta protein(25-35)Phosphorylates MARCKS through Tyrosine Kinase-Activated Protein Kinase C Signaling Pathway in Microglia." J.Neurochem.(印刷中).

  • [文献書誌] Murakami,N.他: "An association study of a polymorphsim of non-erythroid α-spectrin gene with schizophrenia." American Journal of Medical Genetics.(印刷中).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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