2系統の遺伝的てんかん欠神発作モデルマウスlethargic(lh/lh)およびstargazer(stg/stg)マウスを用い、欠神発作におけるGABA_B受容体の関与および核内転写調節因子の挙動を検討した。両モデルマウスとも30秒から数分間隔で行動の停止が認められ、脳波上には6Hzの棘徐波複合放電(SWDs)が出現した。欠神発作治療薬のエトスクシミドおよびGABA_B拮抗薬のCGP35348およびCGP46381は、両モデルマウスのSWDs出現を有意に抑制した。ゲルシフトアッセイ法で両モデルマウスのcyclic AMP responsive element(CRE)およびactivator protein 1(AP-1)DNA結合活性を測定したところ、両DNA結合活性ともに各モデルの発作を生じないコントロール(+/+)マウスに比べ、大脳皮質および視床において有意に高かったが、小脳では、コントロールマウスとの間に差がなかった。両部位における両DNA結合活性の上昇は、SWDsを抑制したのとほぼ同用量のエトスクシミドまたはCGP46381により抑制された。以上より、大脳皮質と視床における両結合活性の上昇が欠神発作に依存したもので、視床-大脳皮質系ニューロンの異常に起因していること、および発作発現にGABA_B受容体が関与することがより明らかとなった。また、Lethargicマウスの大脳皮質におけるCRE結合活性は、CRE-binding protein(CREB)抗体およびリン酸化CREB(pCREB)抗体によりスーパーシフトし、AP-1 DNA結合活性は、c-Fosおよびc-Jun抗体により抑制された。したがって、CRE結合活性の上昇がCREBによるもので、少なくともその一部はリン酸化されていること、および、AP-1 DNA結合活性にはFos-Jun複合体が関与していることも明らかとなった。
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