研究概要 |
プロスタノイドは、生体内において非常に多彩な採用を示すが、それは標的細胞表面にある各プロスタノイドに特異的な受容体を介して発揮されている。これらの受容体は各々PGD,PGE,PGF,PGI,TXAの受容体であるDP,EP,FP,IP,TPより成り、EPには4種類のサブタイプ受容体であるEP1,EP2,EP3,EP4が存在する。これらの受容体は7回膜貫通構造を持ちG蛋白質と連関するロドプシン型受容体に属する。また、これらの受容体では膜貫通領域を中心に共通のアミノ酸が保存されており、これらの部位がリガンドであるプロスタノイド分子の結合領域を形成していると考えられる。しかし、これらの受容体のリガンド結合領域の詳細は不明である。一方、プロスタノイド受容体が非常に構造の似通ったリガンドを識別し、受容体間でリガンド結合領域と想定される部位での相同性が高いことから、リガンド認識を行う受容体構造は比較的限定されていることが予想される。この予想を基に本研究は、変異導入受容体を用いたプロスタノイド受容体のリガンド認識構造の解明を目的としている。まず、IP受容体とDP受体のキメラ受容体を作製し、そのリガンド結合の特異性を解析した。その結果、受容体の第3膜貫通領域がポロスタノイド分子の5員環を認識し、第6〜第7膜貫通領域が側鎖の二重結合の有無を識別することが明らかにした。現在、さらに細かく部位を限定したキメラ受容体を作製し、解析を進めている。一方、従来知られているプロスタノイドとその類似化合物が、プロスタノイド受容体にどの程度の特異性を持って結合するかを詳細に結合した。具体的には、8種類のプロスタノイド受容体の各々を発現させたCHO細胞と34種類のリガンドを用いて結合実験を行った。この結果、従来のリガンドは極一部のものを除いて、その受容体特異性が低いことを明らかにした。
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