研究概要 |
ヒトPACE4はCa^<2+>イオン依存性のセリンプロテアーゼで,前駆体タンパク質からプロペプチドを除去し,生理活性を発現させる酵素である.9年度にアンチセンスRNAを発現させたHepG2細胞株を樹立し,血清アルブミン,補体C3のプロセシングにPACE4,PC8,Furinが同等に関与していることを明らかにした.10年度は,PACE4プロモーター1.5Kbの種々の欠失変異体または点変異体を作製し,レポーター遺伝子ルシフェラーゼにつないだコントラクトを作製した.HepG2,GH4Cl等のPACE4活性の高い細胞に上記コントラクトをトランスフェクトし,レポーター遺伝子の発現量でプロモーター活性を測定したところ,HepG2,GH4Cl共に転写開始点のすぐ上流にあるSP1部位が基本的転写活性の発現に重要であること,bHLH転写因子結合部位であるE-boxのうち,HepG2特異的活性はE2に存在すること,E4-E9のクラスター部はサイレンサーであること,E10はエンハンサーであることを明らかにし,PACE4の発現がbHLH型転写因子により制御されていることを解明した.このことからPACE4が発生分化の制御因子であるTGFbファミリーの活性化を通して深く関わっていることが示唆された.
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