研究概要 |
ケモカイン・ファミリーは炎症、ウイルス感染および細胞増殖に関与する一群のサイトカインからなり、ヒトでは我々が最近クローニングしたものも含めて現在までに約40種のメンバーが報告されている。我々はESTから見出したCCケモカインLARC(liver and activation-regulated chemokine), SLC(secondary lymphoid tissue chemokine), ELC(EBIl-ligand chemokine),PARC(pulmonary and activation-regulated chemokine)、LEC(liver-expressed chemokine)およびCX3CケモカインfractalkineのcDNAをクローニングし、それらの遺伝子のマッピングを行った.その結果、従来の17番染色体に存在し、主に単球に対して遊走活性を示すCCケモカインとは異なってリンパ球や樹状細胞に対して作用するCCケモカインは主に17番以外の染色体に存在することが明らかとなった.また17番染色体上のPARCの遺伝子構造を調べるとMIP-1α-likeな配列2個が融合して形成されたと考えられる構造をしていた.またPARCのマウス遺伝子は存在せず、ヒトと齧歯類が分岐した後に、PARC遺伝子が形成されたと考えられた.以上からCCケモカイン遺伝子は17番上で恐らくMIP-1α遺伝子領域を中心に重複機構で形成されたと思われる.特に17番以外に存在するCCケモカイン遺伝子は進化的に古い時代に重複し、他の染色体に転移していったものと考えられ、またPARCなどごく最近形成されたと考えられる遺伝子はしたがって17番の大遺伝子クラスター内に見出されるのであろう.
|