研究課題/領域番号 |
09670144
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
病態医化学
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
西平 順 北海道大学, 医学部, 助教授 (30189302)
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研究分担者 |
田中 勲 北海道大学, 理学部, 教授 (70093052)
井上 芳郎 北海道大学, 医学部, 教授 (20051584)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | サイトカイン / マクロファージ / エンドトキシンショック / MIF |
研究概要 |
エンドトキシン(LPS)投与によるエンドトキシンショックによる致死率が抗MIF抗体により改善することを報告し、敗血症の病態おけるMIFの重要性を明らかにした。そのメカニズムとして、LPSが標的細胞を攻撃し、TNF-a.IL-1,IL-6、IL-8などの炎症性サイトカインの産生を促進すると考えられた。これまでの筆者らの培養細胞を用いたLPS刺激時のMIFの発現の解析から、血管内皮細胞においてもMIF mRNAレベルの発現の上昇があり、また培養液中に大量のMIFの放出が認められることから、エンドトキシンショック時には下垂体に限らずほとんどの組織からMIFが血中に放出されるものと考えられる。ラットを用いたARDSモデル実験においても、気道上皮細胞と肺胞マクロファージの胞体が抗MIF抗体で陽性に染色された。特に気道上皮細胞はLPS投与24時間後に染色性が増強した。MIFmRNAは未処理の肺ですでに発現しており、LPS投与後は経時的に発現が増強した。LPS投与前に、ラット腹腔に抗MIF抗体で投与すると、肺組織への好中球の浸潤や肺浮腫が著名に抑制された。このことからMIFはエンドトキシン肺損傷時における炎症性サイトカインとして機能していることを示唆するものである。 一方、ラット角膜を用いMIFが組織損傷の治癒に重要な機能を果たしていることを明らかにした。特に注目されるのは、皮膚や角膜では増殖の盛んな基底膜細胞に特異的にMIFが認められることから、本タンパク質が細胞増殖機能を持ち合わせているものと考えられる。これまで、MIF anti-sense RNAを導入した癌細胞の増殖が著明に抑制されることを確認しており、癌細胞の増殖に関わる新たな細胞増殖因子としても注目される。
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