研究課題/領域番号 |
09670151
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
仁木 一郎 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10262908)
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研究分担者 |
千田 隆夫 名古屋大学, 医学部, 助教授 (10187875)
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キーワード | インスリン分泌 / ミオシン / 顆粒運動 / モーター蛋白 / カルシウム結合蛋白 / カルサイクリン / アネキシン / カルモデュリン |
研究概要 |
本研究は、膵B細胞をモデルに分泌顆粒の運動機構の解析を中心に展開してきた。この細胞では、シナプス小胞のトラフィックとは異なるモーター蛋白質/細胞骨格が顆粒運動制御の中心的役割を果たす。本年度の研究によって、ミオシン軽鎖のみならず、この軽鎖をリン酸化するミオシン軽鎖リン酸化酵素もまた顆粒上に存在することが明らかになり、アクトミオシン系の顆粒運動への関与がより強く示された。さらに、顆粒の運動・細胞内局在の調節に数種類のリン脂質が関与していることが明らかになった。リン脂質の選択性、この作用におけるリン脂質の加水分解の必要性、顆粒運動を調節するおよび生理的なインスリン分泌刺激における関与についてはこれからの課題である。さらに、本年度の研究では、分泌顆粒の運動と開口放出の中間に存在する分泌顆粒のドッキングについても解析が進み、この過程の制御にプロテインキナーゼCによる蛋白質のリン酸化およびアクチン線維の重合/脱重合が関わることが解明されるとともに、この二つの機構は独立している可能性が示された。最近の研究から、開口放出をもたらす細胞外Ca^<2+>流入は、同時に膵B細胞のアポトーシスをもたらすことが知られている。本研究で得られたような顆粒運動および細胞膜へのドッキングなどの開口放出よりも上流の調節過程の解明は、効率的に必要量のインスリン分泌を得る手段として糖尿病治療の面から見ても、その意義は大きい。
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