1. 日本の伴性劣性無ガンマグロブリン血症(XLA)および臨床的に分類不能な抗体産生不全症におけるBtkの変異の解析を継続し、従来臨床的にXLAとは診断され得なかった症例の内にも相当数のBtk欠損例が存在することを示した。 2. BtkのSH3ドメインへの結合分子として我々が同定した新規分子SabがBtkの活性を抑制し、またB細胞においてB細胞抗原レセプターの刺激に引き続いて生じる細胞内シグナル伝達(イノシトールリン酸の生成、カルシウムの動員、さらにはアポトーシス)を抑制することを示した。したがってSabはチロシンキナーゼの新しい細胞内抑制分子であることが示された。 3. B細胞上の抗原レセプターへの刺激によってチロシンリン酸化され、BtkのSH2ドメインと結合する分子を同定し解析した。我々の同定した分子は、昨年全く異なる観点から同定され報告された分子BLNK(B cell linker protein)と同一であった。我々の解析の結果、以下のことを明らかにした。B細胞抗原レセプター刺激後にチロシンリン酸化されたBLNKはBtkとそのSH2ドメインを介して結合し、それによってホスホリパーゼCが効率的に活性化される。我々はこのBtkとBLNKの結合がB細胞レセプター刺激後に生じる細胞内カルシウムの動員に必須であることを明らかにした。
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