BCG菌、サルモネラといった細胞内寄生性病原体による感染に対する抵抗性/感受性を抑制する遺伝子座位がマウス第1染色体に位置し、natural resistance associated macrophage protein 1:Nramp1がこの座位から単離された。申請者はヒトNRAMP1遺伝子を単離し、自然抵抗性関連マクロファージ蛋白質と名付け、この情報をもとに抗ヒトNRAMP1ポリクローナル抗体を作製した。この抗体と健康成人由来の末梢血細胞を用いてFlow Cytometry解析を行ったところ、単球系細胞に最も強い発現が観察された。同様に成熟リンパ球ではT/Bともに発現が検出できたが、顆粒球系細胞にはほとんど検出できなかった。 また、NRAMPは遺伝子ファミリーを形成していることが判明したので、ヒトの大脳皮質由来cDNAライブラリーからの単離を試みた。NRAMP1cDNAをプローブとしてスクリーニングしたところ、数種のクローンの単離に成功し、その構造解析を行った。その結果、ヒトNRAMP2cDNAをクローン化した。予想されるポリペプチドは561アミノ酸からなり、その配列の解析の結果、NRAMP2蛋白の分子構造はNRAMP1のそれと酷似していることが明らかになった。 現在、NRAMP1分子のN末端部分のGST融合蛋白質を用いて、細胞内蛋白とのprotein-protein interactionを調べていたところ、チュブリンと結合する能力があることを証明している。そこで、in vitro再構成系での実験を試みている。
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