研究概要 |
本年度は、プリンヌクレオチドサイクルにおいて重要な役割を果たすAMPD遺伝子群について、細胞および動物モデルを用いて機能解析を行った。まず、昨年度に引き続きマウスAMPD遺伝子群の解析を行った。遺伝子ターゲティングについてはAmpd1遺伝子およびAmpd3遺伝子ターゲティングベクターを胚幹細胞に導入し、G418耐性コロニーの選別を継続し、PCRによる相同組換えの確認にてAmpd1遺伝子およびAmpd3遺伝子欠損胚幹細胞を単離し、新たにそれぞれ6クローンの細胞を樹立した。これら樹立ES細胞について染色体核型を検索し2クローンは得られた核型はすべて正常であった。この細胞を胚盤胞への顕微注入した結果、ES細胞由来の比率の高いAmpd1遺伝子および,Ampd3遺伝子欠損キメラマウスを得た。さらに交配により,Ampd1遺伝子およびAmpd3欠損マウスの作製を継続している。また、活性染色にてAMPD活性の低下を認めたミオパチ一患者について筋生検標本をもちいてRNAを抽出し、cDNA合成をおこなって、AMPD1遺伝子の塩基配列を決定したところ、エキソン9及びエキソン10にミスセンス変異をきたす塩基置換を認めた。この変異はゲノムDNAの直接塩基配列決定においても確認された。これまで、AMPD1遺伝子異常は選択的スプライシングをうけ除去されうるエキソン2の異常しか報告されていないことから、本症例の詳細な検討はAMPD遺伝子の機能解析に重要であると思われ、さらに検討中である。
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