研究課題/領域番号 |
09670175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
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研究分担者 |
黒瀬 顕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70244910)
梅田 みか (渡辺 みか) 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (20292344)
須山 享三 東北大学, 農学部, 教授 (70005635)
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キーワード | 膠原病 / 肺高血圧症 / 弾性動脈 / エラスチン / コラーゲン / アミノ酸 / 架橋構造 / 高速液体クロマトグラフィー(HPLC) |
研究概要 |
目的:エラスチンは大動脈の弾力性を担う主要な蛋白であり、その弾性力には分子間ないし分子内の架橋構造が大きな役割を果たしている。本研究では、解離性大動脈瘤の発生機序と弾性線維の架橋構造の変化との関係を明らかにすることを目的として、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)による解析を行った。 対象:特に動脈病変のない剖検例27例(0〜85歳)と胸部解離性大動脈瘤症例19例(41〜73歳)の胸部大動脈を用いた。 方法:大動脈組織片を加水分解し、SEP-PAK^<TM>ミニカラムとFe(III)/活性炭カラムにて前処理を行った後、HPLCにて、エラスチンの架橋アミノ酸であるデスモシン、イソデスモシン、オキソデスモシン、イソオキソデスモシン、ネオデスモシン、アルドシンとコラーゲンの架橋アミノ酸であるピリジノリンの変化を検討した。 結果:解離性大動脈瘤での変化については、以下の様な結果が得られた。 (1)エラスチンの架橋アミノ酸はいずれも解離性大動脈瘤で有意に減少していた。 (2)イソオキソデスモシンの減少が特に顕著であり、オキソデスモシンの減少も見られた。 (3)解離性大動脈瘤ではデスモシン、イソデスモシンに対してアルドシンの増加が見られた。 (4)ピリジノリンはわずかに増加していたが、有意差は見られなかった。 考察:解離性大動脈瘤では架橋の酸化的分解が進行し、エラスチンに障害が加わっていることが示唆された。また、アルドシンの相対的な増加より解離性大動脈瘤では架橋の代謝が亢進していることが想定されたが、形成される架橋は安定な架橋ではなく不完全な架橋であることを示していた。
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