研究課題/領域番号 |
09670175
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
人体病理学
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研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
澤井 高志 岩手医科大学, 医学部, 教授 (00125577)
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研究分担者 |
須山 享三 東北大学, 農学部, 教授 (70005635)
宇月 美和 岩手医科大学, 医学部, 助手 (50305992)
黒瀬 顕 岩手医科大学, 医学部, 講師 (70244910)
梅田 みか (渡辺 みか) 東北大学, 医学部・附属病院, 助手 (20292344)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | 弾性動脈 / エラスチン / 架橋アミノ酸 / デスモシン / イソデスモシン / HPLC / 大動脈瘤 / 肺高血圧症 |
研究概要 |
研究目的:血管壁の弾性線維を構成するエラスチンの架橋アミノ酸であるデスモシン、イソデスモシンをhigh-performance liquid chromatograpy (HPLC)で分析した。対象は解離性大動脈瘤(大動脈)と肺高血圧症(肺動脈)のいずれも弾性型血管とその代表的疾患である。さらに、大動脈瘤における弾性線維の分解、増減に関与する蛋白質分解酵素の発現を免疫組織化学的に解析した。 方法:HPLCによる解析については培検例を用い、HPLCによる分析は共同研究者の須山らの方法にしたがっておこなった。また、弾性線維の分解を検討した大動脈瘤については、手術例を用いた。 結果: 1.大動脈瘤における架橋アミノ酸の定量化と蛋白分解酵素の発現 (1)大動脈では加歳とともにデスモシン、イソデスモシンなど架橋アミノ酸の量の減少が証明された。また、この他にデスモシンとイソデスモシンに対するオキソデスモシン、イソオキソデスモシンの減少も認められ、壁の脆弱傾向の架橋アミノ酸の低下の関与が示唆された。 (2)また、この大動脈瘤の壁構造の破壊に関与する蛋白分解酵素の発現を検討した結果、大動脈瘤の症例では、Matrix metalloproteinase (MMP)-2、-9の発現が証明された。 2.加齢における架橋アミノ酸の変化と肺高血圧症における状態 肺動脈の架橋アミノ酸については、大動脈と異なり、加齢に伴う減少傾向は認められなかったが、デスモシン/イソデスモシンは全例で1以上を示し、デスモシンがイソデスモシンより多く含まれていることが証明された。また、同一症例での大動脈/肺動脈は、デスモシン9/13、イソデスモシン11/13例と大動脈が肺動脈に対して架橋アミノ酸の量が多いという結果が得られた。肺高血圧症例では、例数は少ないものの膠原線維の増加が目立ち、架橋アミノ酸の著明な減少が認められた。現在、肺動脈については、Controlおよび肺高血圧症を追加して解析を継続している。 さらに、今後はデスモシン、イソデスモシンも発現状態を免疫組織科学的に検討すると同時にトロポエラスチン、マイクロフィブリンなどの発現の状態と比較していく予定である。さらに肺高血圧症におけるコラーゲンの定量化も試みる予定である。
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