研究概要 |
1. whole tissueを用い、PCR法にて免疫グロブリン重鎮(IgH)遺伝子のクローナルな再構成を認めた唾液腺原発の粘膜関連悪性リンパ腫5例について、サブクローニングを施行した。それらのシーケンスの解析で、腫瘍ク口ーンにはIgH V領域にsomatic mutationが認められ抗原刺激をうけたB細胞がその正常対応細胞であると考えられた。しかし、ongoingなsomatic mutation、すなわちintraclonal diversityは認められなかった。そこで、びまん性増殖部と粘膜関連悪性リンパ腫の組織学的特徴であるfollicular colonizationの部分をそれぞれミクロマニュプレーターにて採取し、同様の検索をすると、前者ではwhole tissueでの検索結果と同様であったが、follicular colonizationの部分ではongoingなsomatic mutationが認められた。すなわち、腫瘍細胞は反応性濾胞の胚中心へ浸潤し、その場で抗原刺激に反応することが証明された(論文作製中)。 2. 数年の経過で、典型的なmantle cell lymphomaからびまん性大細胞型リンパ腫に形質変換した2症例の検索で、経過中に、一例ではp53、もう一例ではp27の過剰発現が認められ、悪性リンパ腫の形質変換には付加的な遺伝子異常が関与しているものと推測された(in press)。 3. 各種非ホジキンリンパ腫について、p27,p53,cyclin E等の蛋白発現を免疫組織化学的に検索した。最新のREAL分類にそって検討したが、各亜型間には明らかな相違は認められず、現在、細胞増殖率、臨床経過等での検討を行っている。
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