研究概要 |
B細胞性腫瘍の正常対応細胞を同定するために免疫グロブリン(Ig)遺伝子に生じる体細胞突然変異(somatic mutation;SM)の検索を行い、B-CLLやMCLはSMのないpre-germinal center(GC)B細胞、BurkittやMALTリンパ腫は低〜中等度のSMをともなうpost-GC memory B細胞、そしてFCLはongoing mutation/intraclonal diversity(ID)の存在よりGC B細胞であることを報告した。しかし、さらなる検索の結果ではB-CLlにはSMが検出される症例のあることやBurkittやMALTリンパ腫でもIDの存在する症例のあることが判明した。そして、B-CLLの正常対応細胞はheterogeneousであることを現在論文作成中。またBurkittやMALTリンパ腫に関しては、ともに反応性濾胞への腫瘍細胞の浸潤の見られる事に着目し、浸潤濾胞をミクロマニュプレーターで選択的に採取しIg遺伝子の検索を行った。MALTリンパ腫で見られるIDはこの濾胞への浸潤によることが判ったが、Burkittリンパ腫では浸潤とは無関係にIDが生じているという結果であった。 悪性リンパ腫の経過中に起こる形式変換に関して、MCLがびまん性大細胞型にftansformした症例に着目し、細胞周期に関連する様々な蛋白の発現について検討した結果、p27やp53の過剰発現が認められ、これら蛋白あるいは遺伝子の異常がtransformationに深く関わっている事を報告した。(1999,Leuk Lymphoma)。また、各種リンパ腫におけるこれら細胞周期蛋白の発現を検索したが、組織亜型間には相違は認められなかった。現在さらにデータの解析中である。
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