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1998 年度 実績報告書

単球様Bリンパ球の生体防御機構およびリンパ腫発生母地としての重要性

研究課題

研究課題/領域番号 09670182
研究機関名古屋大学

研究代表者

伊藤 雅文  名古屋大学, 医学部, 助教授 (50184693)

研究分担者 藤野 雅彦  名古屋大学, 医学部, 助手 (70262904)
中川 温子  愛知医科大学, 医学部, 講師 (90227736)
キーワード脾臓濾胞周辺帯 / 単球様Bリンパ球 / LPS
研究概要

1. 先天性、後天性免疫不全症症例の病理所見を検討し、生体防御機能の機能的評価を、組織像とあわせて検討した。各種先天性免疫不全症では、類型化された機能障害により、それぞれ異なった代償的な機能補完がなされている。特にBリンパ球を伴う無γグロブリン血症および高lgM症候群では、脾臓濾胞周辺帯Bリンパ球の残存あるいは過形成が認められ、この群のBリンパ球が特殊な分化、あるいは通常のBリンパ球を成熟させるサイトカインネットワークとは異なることが明らかとなった。また、HlV感染による後天性免疫不全症候群においても、Tリンバ球失調による濾胞を介したBリンパ球分化は障害され、形成不全に陥るが、濾胞周辺帯Bリンバ球は相対的に保たれ、形質細胞への分化を認めた。このリンパ球が保持されていることによる、生体防御機構により代償されていると考えられた。
2. 単球様Bリンバ球に由来する悪性リンパ腫症例の臨床病理学的検討により、発症要因としての局在性、先行する感染症の重要性が明らかとなった。組織標本から抽出した腫瘍細胞DNAについての検討では、明確な所見は得られなかった。
3. LPSで誘導された単球様Bリンバ球の組織親和性を、細胞接着因子の関与の観点から検討した。LPSに組織抽出液を加えてin vivoで反応させると、抽出液由来の組織に単球様Bリンバ球の浸潤が観察され、小動脈を含む細小血管周囲に出現した。血管と浸潤細胞との間に関与する細胞接着因子は、I-CAMが陽性であったが、その他の既知の因子については明確な関与は認められなかった。今後、積極的に関与する細胞接着因子を、この実験系を用いて抽出する予定である。
4. 実験的ラット胃潰瘍病変における単球様Bリンバ球は、Helicobacter pyloriの感染実験がうまくいかず、有効な検索ができなかった。実験胃潰瘍病変では、単球様Bリンパ球の反応性の増生が、潰瘍初期病変で見られ、同時期の脾臓濾胞周辺帯にはこの領域の拡大とともに単球様Bリンパ球増生、また細胞増殖因子の検索により、この部位における増生がみられ、胃潰瘍病変での単球様Bリンパ球の細胞増殖因子の発現とともに、増殖は相互の部位で生じていることが明らかとなった。感染実験の方法をさらに検討する必要がある。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Masafumi Ito: "Monoclonal antibodies against mouse splenic stromal cells" Pathol Int. 47. 275-281 (1997)

  • [文献書誌] Motohiko Yasutomi: "Evaluation of tetrahydropyranyladriamycin as an immunosuppressant in concordant xenotransplantation" J Heart Lung Transplant. 16. 283-289 (1997)

  • [文献書誌] Toyoharu Yokoi: "Broncho-bronchiolitis obliterans as a complication of bone marrow transplantation" Vorchows Arch. 431. 275-282 (1997)

  • [文献書誌] 伊藤雅文: "脾臓濾胞周辺帯の構造および機能的独立性に関する考察" 日本リンパ網内系誌. 37. 297-303 (1998)

  • [文献書誌] Masayoshi Kobayashi: "Immunohistochemical analysis of cell infiltration in Buerge's disease" J Vascular Surg. in press. (1999)

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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