研究課題/領域番号 |
09670199
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
覚道 健一 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (00112037)
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研究分担者 |
中村 靖司 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (60275352)
中村 美砂 和歌山県立医科大学, 医学部, 助手 (70285386)
横井 豊治 和歌山県立医科大学, 医学部, 助教授 (40200886)
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キーワード | 原発性副甲状腺機能亢進症 / 二次性副甲状腺機能亢進症 / 形態学 / clonality / p53 gene / menin gene / mutation |
研究概要 |
副甲状腺過形成と腫瘍のclonality及び遺伝子異常(p53とmenin gene)の解析を行い、これらの結果を病理形態学的特徴とを合わせて、過形成と腫瘍の鑑別及び腫瘍の発生機序について検討した。 1.clonalityの検討:腺腫だけでなく、大部分の2次性過形成と考えた病変でもmonoclonalな病変であり、腫瘍性病変であることを示した。 2.2次性機能亢進症では、結節性病変における各結節については、monoclonalとpolyclonalな両方の病変が一つの腺に存在し、過形成から腫瘍への進展が存在することが示唆された。 3.2次性副甲状腺機能亢進症症例を用い、clonalityの結果と形態学的特徴と比べると、形態学のみで、monoclonalな腫瘍とpolyclonalな過形成との鑑別は困難であった。 4.p53の異常について、4例(腺腫32例、2次性過形成14例)の腺腫にp53蛋白の過剰発現、その内2例にp53の遺伝子変異を認め、p53の変異は良性腺腫にも関与することを証明した。また、この2例は強い核多型性を示し、核の退行性変化と何らかの関係があることを示唆した。 5. 21例の腺腫を検討し、menin遺伝子の異常は、2例の体細胞点突然変異(A340T,A541T)として検出され、一部の非遺伝性副甲状腺腫瘍の発生にmeninの異常が関与することを確認した。なお、二つの多型(D418D,V367V)を腺腫と癌に認めた。A340T、A541TとV367Vの変異は今回、我々が新しく発見した変異であった。 以上の結果をまとめると、副甲状腺腺腫と結節性を示す大部分の2次性過形成は、monoclonalな腫瘍性病変であると考えられる。p53矢meninを含む多遺伝子の異常が副甲状腺腫瘍の発生と進展に関与すると考えられる。形態学のみで、腫瘍と過形成病変との鑑別は困難であり、遺伝子の形態と合わせることにより、より正確に診断することができると考えられる。
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