研究課題/領域番号 |
09670209
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
野島 孝之 金沢医科大学, 医学部, 教授 (50142732)
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研究分担者 |
長嶋 和郎 北海道大学, 医学部, 教授 (50010377)
竹上 勉 金沢医科大学, 総合医学研究所, 助教授 (10113490)
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キーワード | 滑膜肉腫 / 悪性骨軟部腫瘍 / 変異遺伝子 / SYT / SSX / 組織診断 |
研究概要 |
滑膜肉腫が疑われた軟部腫瘍9例、骨腫瘍1例、心嚢腫瘍1例の計11例を用いて、SYT-SSX変異遺伝子の検討を以下に行った。対照として、腺癌、悪性中皮腫、類上皮肉腫、ユ-イング肉腫、骨肉腫を含む悪性腫瘍27例を用いた。 1)RT-PCR法による変異遺伝子発現の検討 新鮮凍結材料からtotalRNAを抽出し、逆転写酵素によりcDNAを作成した。18番染色体のSYT遺伝子とX染色体上の2つの相同遺伝子、SSX1、SSX2遺伝子のプライマーを用いて、RT-PCR法でSYT-SS変異遺伝子の発現を検索した。その結果、滑膜肉腫が疑われた全例に585bpのPCR産物が確認された。対照とした悪性腫瘍27例にはPCR産物を見なかった。SYT-SSX1とSYT-SSX2変異遺伝子の相違をダイレクトシークエンス法にて検討したところ、9例がSSX1、2例がSSX2であった。 in situハイブリダイゼーション法による変異遺伝子発現の検討 ノザンブロット法、RT-PCR法による正常のSSX遺伝子の発現は、滑膜肉腫には見られなかった。SSXのantisenseプロブによる滑膜肉腫組織のin situハイブリダイゼーションでは、SSXの発現は上皮様部、線維肉腫様部ともに腫瘍細胞に認められた。 以上の結果は、滑膜肉腫の病理組織診断にSYT-SSX変異遺伝子の発現の検討は極めて有用であることを示していた。また、滑膜肉腫細胞では正常のSSX遺伝子の発現はないが、SYT-SSX変異遺伝子の発現を見ることをin situハイブリダイゼーション法による確認することができた。今後、変異遺伝子の発現による組織診断への実用性、他の遺伝子発現と腫瘍の進展や予後との関連性の検討を行う予定である。
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