研究概要 |
550症例に及ぶ症例の臨床像については、これまでに得られている成績と同様に若年成人の頚部に主に見られ、白血球減少を伴い、一部に皮疹を認めるという臨床像は同様であった.ただ、これまで明らかに女性優位であったが最近の症例では男性の比率の増加の傾向が見られている.組織学的には、芽球化リンパ球が増加し、壊死の傾向に乏しい基本的な組織像を示す症例が増加している.病変部に多数みられるアポトーシスを示す細胞は主に増殖しているCD8陽性細胞であるが、一部はCD4陽性細胞も混在している、アポトーシスにはgranzime B, perforinが関与する系とfas,fas ligandが関与する2つの系ともに見られることが明らかとなった.このことは本疾患に見られるアポトーシスの発生機転は単一の経路でないことを示すものであり、さらにアポトーシスにウイルスの関与を否定できない成績であった.また大型化芽球の多くか特に感染活動期にあっては血清中の可溶性fas ligandの上昇が検査全例に認められ、それが病状の回復と共に正常に復帰することが明らかとなった.このことは可溶性fasが本疾患の病因に強く結びついている可能性を示唆するもので、病変がリンパ節でなく全身諸臓器に見られることにも関連するところである.また大型化芽球はウサギ抗血清免疫グロブリン分画からなるヒトmyeloperoxidaseに対する抗体に反応することが明らかとなった.このことは従来反応細胞が形質細胞様単球とされてその特異性が述べられているが、骨髄系との関連を示唆する成績であり、この点からも本病変の特異性が伺われる.HLAとの関係については、DQA-1-0103,0302,DQB1-0601は統計的に有意差を示し、本疾患が遺伝的要因もその発生に関与していることを示唆するものであった.
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