研究概要 |
抗hnRNPA2及びB1特異的モノクローナル抗体DP3及び2B2を作製し,免疫蛍光染色後,レーザー顕微鏡を用いて細胞内の局在様式を検討した.その結果,両蛋白は核内に顆粒状に分布すること,RNAポリメラーゼIIの阻害により細胞質に変移すること(核細胞質をシャトルすること)を明らかにした. マウス及びラットを用いて,hnRNPA2/B1蛋白の組織・細胞発現を検討した.両蛋白の発現量は細胞特異的に制御されている事を明らかするとともに,精巣特異的な新規isoform(hnRNP B0)を見出しクローニングした.hnRNP B0はExon9のsplice outにより生じる事を明らかにするとともに,ラットhnRNPA2,B1,B0のsequenceを決定し,ヒトと極めてホモロジーが高い事(1アミノ酸の違い)を明らかにした.(以上の成果は,Journal of cell bioplogyに投稿し受理された.) pET11を用いた大腸菌発現系でリコンビナントhnRNP A2,B1,B0蛋白を作製精製した.これらを用いてhnRNPB0の生化学的な特徴を明らかにするとともに,特にテロメアDNAとの結合能について検討した結果,hnRNPB0蛋白は,テロメア反復配列の最小基本6塩基(TTAGGG)に特異的に結合する事が明らかになり,現在,テロメア維持機構との関連を検討している.(以上の成果は,平成10年度日本病理学会及び日本細胞生物学会にて発表する予定である.) リウマチ性疾患において抗hnRNP A2/B1抗体が上昇する事が指摘されている.そこで,自己免疫疾患モデルマウスであるNew Zealand B/W F1及びMRL/lprマウス中の,抗hnRNPA2/B1抗体の有無を検討した.しかし,これらのモデルマウスの病態は,抗hnRNPA2/B1抗体は上昇しておらず,ヒトのリウマチ性疾患の病態と違いがある事が判明した.
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