Nuc-koB6系マウスのMRL/lprマウス(+/+)への戻し交配4代目(4G_<-/->)で結節性多発動脈炎(PN)が70%の割合で出現することを既に認めていたが、その後の病理組織検査で4代でも軽症例を含めると100%近い割合で血管炎(以後壊死性血管炎と称することもある)の発症することが分かった。血清学的解析からこれらのマウスは+/+マウスに比べて血中免疫複合体(IC)が数倍に増加していること、腎病変部から有意にICが回収されるなどが明らかになった。腎由来ICは一次元・二次元電気泳動分析及びアミノ酸解析で42kDバンドはアクチンとアルギニノ・サクシネートシンセターゼ(ASS)であることが明らかにされた。本研究の大きな課題であった4G_<-/->マウスに発現しているNuc結合性42kDバンドもアミノ酸解析の結果ガンマーアクチンであることが分かった。リンパ節由来アクチンの二次元電気泳動分析でえられたアクチンの等電点変位は当該マウスに於けるアクチン一抗アクチン系の異常免疫応答の生じていることを強く示唆した。なお今回明らかにされた腎免疫複合体からのASSは全ての自己免疫疾患を通じてまだ知られていない新しい抗原系である。腎病変・血管病変との係わりに於て期待だ持てる。
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